かつて我々人類がこの大地のすべてを支配していたことなど、
神話の時代の作り話にしか感じられない。
神に授けられたものと信じて疑わなかった秩序あるその世界は、
突如として起こった異変によって完全に崩壊したのだという。
異界に通じるといわれるその黒い亀裂が大地に刻まれた時、
そこから噴き出した混沌の嵐によって、人の生み出した神の摂理と
いう名の幻想はもろくも打ち砕かれ、奇跡の救いを願う人々に
与えられたのは禍々しく変化した異形の生命たちが放つ死の宣告
だけであった。
もはや人は次々に襲い来る魔物たちに圧倒され、種の存亡すら
脅かされる脆弱な存在に過ぎなくなっていた。
だが人を人たらしめたのは、本来そうであったはずのその脆弱さだと、
高名な魔道士たちは言う。
敗北と死を受け入れるために祈ることなどいつでも出来る。
しかし人間の意志力はそんなもののためにあるのではない。
弱さゆえに、その恐怖ゆえに、人はみずからを変えてゆく力を手に入れてきた。
その時もすでに、死の恐怖によって沸き上がるこの獣のような
闘争心を勝利に向けて開放するために、人類もまたこの混沌の
中で異界の力をあえてその身に受け入れつつあったのだ。
もはや敵無しといわんばかりに暴れまわる魔物たちを前に、
戦士は剛剣を取り、魔道士は激しく輝くオーラをまとって立ち上がる。
この新たな世界の王座をめぐる戦いに、再び挑戦権を手に入れた我々は
それ以来、現在に至るまで途絶えることのない戦乱の歴史を刻みつづけてきた・・
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